第一に「一心精進」です。
何事も事を成すのは容易ではなく、一朝一夕にはなかなか到達出来ません。
右往左往することなく、自らの信念に基づいて懸命に努力し、己の心を戒め、他に惑わされることなく精進しなければなりません。
それではいつまで努力精進すれば良いのでしょうか?
日本では、昔から「十年一剣を磨く」といって、十年間一振りの剣を磨き続けることと言っています。
事を成すには「一心精進」で十年は必要だということです。
第二に「事上磨錬」です。
学問を究めるには机上の勉強だけでは身に付きません。
実際行動の中でさらに知識を磨き、人格を錬成することが必要です。現代風に言えば、日常の業務をしっかりとこなして、それを通じて修養することが真の学問だと言えます。
このように学んだ知識や技術は、実際業務の中で活かして「事上磨錬」することが重要です。
第三に「不況好機」です。
松下幸之助さんや本田宗一郎さんは、「好況良し」、「不況もまた良し」、と言っています。
「好景気のときは、駆け足をしているようなものだ。
一方、不景気はゆるゆる歩いているようなものだ。
駆け足のときは、他に目が移らないから欠陥があっても気づかないが、ゆるゆる歩いているときは前後左右に目が移るから欠陥に気づき、カイゼンできる」と言うのです。
又、社員教育に力を注ぐなど、不景気なりに利点がある。
世の中が不景気で停滞しているときに、こうした努力をすれば「不況こそ千載一遇の好機である」と断言しています。
以上のように、「一心精進」で自らを磨き続けて、「事上磨錬」で知識と精神を修養し、「不況好機」で欠陥を発見カイゼンして、当社の経営理念、「社員の倖せ、顧客の倖せ、社会の倖せ」を達成すべく邁進しましょう。
※七つのムダとは?
1.つくり過ぎのムダ 2.手待ちのムダ 3.運搬のムダ 4.加工のムダ 5.在庫のムダ
6.動作のムダ 7.不良をつくるムダ
「トヨタ生産方式」より